- パッシブハウスは、冷暖房費がかからないけど建築費がかかるんじゃないの
- 冷暖房費がかからない家では、快適性は失われないの
- パッシブハウスはなぜ省エネ住宅と言われているの
そんな悩みを解決します。
せっかく家を建てるのだから快適でコストがかからない家がいいですよね。
快適な家で生活するために重要なのが冷暖房などの室内環境。
冬に寒く、夏に暑い家では、快適な室内環境を送れないだけでなく、冷暖房費が増えてしまいます。
今回の記事を読めば、冷暖房費がかからない家に住むメリットやパッシブハウスがなぜ冷暖房費がかからないのかを紹介します。
本記事を読めば、冷暖房費がかからない快適な家づくりに役立ちます。
ぜひ、お気に入りの家を建てて快適な生活を送ってください。
冷暖房費がかからない家に住むメリット
冷暖房費がかからない家に住むメリットは3つあります。
- 健康的な生活環境が得られる
- ランニングコストを抑えられる
- 家のどこにいても快適な生活が送れる
以下で詳しく説明します。
健康的な生活環境が得られる
まず第一に健康的な生活環境を得ることができます。
特に冬場に発生するヒートショックの原因は家全体の温度差が原因に。
ヒートショックは、暖かいリビングから脱衣所に移動して、寒い浴室に入る時に発生しやすくなります。
厚生労働省人口動態統計(令和3年)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は4,750人で、交通死亡者数2,150人のおよそ2倍。
冷暖房費がかかりにくい家では、家全体の温度を一定することができます。
そのため、ヒートショック対策にも効果的です。
また、ヒートショックだけでなく、夏場の健康被害防止も可能に。
冷房が効かず、熱中症になるリスクや冷房を効かせすぎたことによって発生する冷房症にも効果的です。
快適な生活環境を得られるので、健康的な生活を送ることができます。
我が家もパッシブハウスに住んだことで、風邪や体調を崩すことが少なくなりました。
ランニングコストを抑えられる
冷暖房費がかからない家では、日々のランニングコストを抑えることができます。
ランニングコストを抑えるためには、以下の二つのコストを抑える必要があります。
- 冷暖房を少ない稼働率で動作させ、月々の電気代を下げる
- 冷暖房器具が故障した時の修繕・交換費用を下げる
月々の電気代を下げることは意識すると思いますが、故障した時の費用も考えることが大切です。
冷暖房費を少ない稼働率で動作させ、月々の電気代を下げる
少ない稼働率で冷暖房を効かせるためには、断熱性や気密性、太陽光を家に取り入れて効率的に冷暖房が効く家にする必要があります。
そのような設計の家にすると、エアコン1台でも快適な生活環境が可能に。
せっかく家の中を快適な設定温度にしても、外に空気が漏れてしまったら意味がありませんよね。
また、冷暖房費を抑えるために稼働率を下げても家の中が快適な温度でなければ、健康被害などのリスクが発生します。
そのようにならないために、冷暖房費を抑えながら快適な生活環境が送れる家づくりに心がけてください。
パッシブハウスの設計コンセプトは、断熱性や気密性を高めて、太陽に素直な家にすること。
そのため、エアコン1台の稼働でも快適な生活環境で暮らすことができます。
そのため、冷暖房を少ない稼働率でも家中に快適な空気を送ることが可能になります。
冷暖房器具が故障した時の修繕・交換費用を下げる
冷暖房器具が故障した時のコストもランニングコストに影響してきます。
特に全館空調や床暖房器具は、修理費用が高額に。
我が家も当初は、全館空調や床暖房を導入しようと考えていましたが、故障した時の交換費用が不安だったため採用は見送りました。
電化製品のため、10〜15年で故障すると思いますが、そのときに交換費用が高くては耐えられませんよね。
全館空調や床暖房に比べて、家庭用エアコンは家電量販店で大体の相場がわかります。
そのため、修理になった時のための貯蓄も想定することが可能に。
さらに家庭用エアコンは、性能が高く、しっかりとした家づくりをすると1台でも家中の温度を快適にできます。
エアコン1台で快適な家になる設計のポイントは以下で説明します。
エアコンの適切な選定方法については、以下の記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。
家のどこにいても快適な生活が送れる
家全体の温度が一定に保たれるため、どこでも温度差なく過ごすことが可能です。
冬は寒くてトイレに行きたくなかったり、朝も布団から出たくないなどありませんか。
冷暖房費がかからない家では、断熱性や気密性を高くしているため保温性に優れています。
そのため、トイレも冬の朝も温度が一定に保たれているので生活が快適に。
パッシブハウスでは、断熱性や機密性に加えて、換気装置も設置されているため、家全体を一定の温度で保てます。
前に住んでいた家の冬は家中が寒く、コタツから出られなかったため、とても快適になりました。
冷暖房費がかからない家に住むデメリット
冷暖房費がかからない家はメリットがたくさんありますが、以下のようなデメリットもあります。
- イニシャルコストがかかる
- 家の性能を考えて建築会社を選ぶ必要がある
- 間取りに制約が出る
順番に解説していきます。
イニシャルコスト(初期費用)がかかる
冷暖房費がかからない家にするためには、断熱性や気密性、性能の良い窓を設置する必要があります。
そのため、イニシャルコストがかかります。
同じ間取りでも建築費が1〜2割程度増えてしまう可能性も。
我が家もパッシブハウスにしたことで、他の建築会社より見積もりが高くなりました。
しかし、冷暖房費がかからない家になりましたので、イニシャルコスト以上に冷暖房費を下げることができました。
断熱性や気密性は、家を建てたときにしか施工できません。
そのため、建築会社ごとの見積もりをイニシャルコストだけで判断するのではなく、トータルコストで判断するのが大切。
断熱性や気密性の質を下げてコストダウンはおすすめしません。
家の性能を考えて建築会社を選ぶ必要がある
冷暖房費がかからない家にするためには、断熱性や気密性、日射取得や日射遮蔽など家自体の品質を上げることがとても大切です。
どの建築会社も「高気密・高断熱」や「全館空調」などで自分たちの会社をアピール。
しかし、キャッチコピーではなく、性能を見て建築会社を選ばなければ、家の品質が低い建物ができてしまいます。
特に断熱性能を表す指標のUA値や気密性能を表すQ値を確認することが大切。
UA値は、2025年から義務化される省エネ基準(住宅性能表示制度)に用いられています。
そのため、新築を建てるときにはUA値が一定の値を超える必要があります。
しかし、現状では大手ハウスメーカーでも値が推奨値を超えない場合も。
そのため、施主本人が家の性能を考えて建築会社を選ぶ必要です。
家づくりは皆さん初心者。失敗しないためにも知識を得ることが大切です。
以下の記事では、UA値やC値について紹介しています。
間取りや外観に制約が出る
性能以外にも間取りに制約が出る場合もあります。
我が家も、バルコニーや勝手口をつけようと思っていましたが、断熱性が下がってしまうので設置を諦めました。
そのほかにも日射遮蔽や日射取得の観点から、制約条件が出る可能性も。
建築会社選びの時に自分たちがやりたい間取りを確認する必要があります。
また、どの家にもバルコニーがついているから我が家にもバルコニーをのような考え方はNG。
本当に必要かやどのように活用したいかを考えて設置することが大切です。
建てる前は後悔していましたが、今では設置しなくてよかったと思っています。
バルコニーと勝手口をなくしたことで100万円のコストダウンにも成功しました。
冷暖房費がかからない家を建てるポイント
冷暖房費がかからない家に住むことはとてもメリットがあります。
しかし、冷暖房費がかからない家を建てるためには以下の6つのポイントがあります。
- 断熱性の確認
- 気密性の確認
- 高性能な窓
- 日射取得と日射遮蔽
- 熱橋をなくす
- 熱交換換気装置の設置
以下に詳しく紹介していきます。
断熱性の確認
冷暖房費がかからない家を建てるためには、断熱性の確認が大切。
断熱性の高い家にすると、家の中の冷暖房が外に逃げたり、外からの冷たい空気や暖かい空気が入ってくるのを防げます。
そのため、
断熱性の高い家は、エアコンの稼働率が低くても家中が快適な温度に設定可能です。
住宅展示場やカタログを見ると「外断熱だから快適です。」、「〇〇の断熱材を使っているので暖かいです。」というようなトークで自社の断熱性をアピールしている建築会社が多いですよね。
しかし、そのようなトークやキャッチコピーで断熱性を比較するのは注意が必要。
UA値などの断熱性を表す数値で比較することが大切です。
家電や車を購入するときにスペックで比較をしますよね。
家も同じように断熱性の数値を比較して建築会社を選定しましょう。
断熱性能を比較するUA値とは?
UA値は以下の方法で算出可能。
外皮平均熱貫流率(UA値)【W/㎡K】=建物が損失する熱量の合計【W/K】÷外皮等面積【㎡】
UA値は2025年から全ての新築住宅に義務付けられる「省エネ基準適合」や2030年から義務付けられる「ZEH水準の省エネ住宅基準適合」の適合基準の値にUA値が用いられます。
また、建てる家が省エネ基準を満たしているかを建築会社が施主に説明する義務が法律で課せられています。
断熱等性能等級とは?
2022年から断熱等性能等級に等級5・6・7が追加されました。
新設された等級は、以下の使用と同様の基準になっています。
- 等級5 ・・・ZEH仕様
- 等級6 ・・・HEAT20 G2仕様
- 等級7 ・・・HEAT20 G3仕様
UA値を確認することに加えて、断熱等性能等級の確認も必要です。
気密性の確認
気密性の高い家は、家の内部の温まった空気が外へ流れにくく、外気も入りにくいという特徴があります。
冬に窓際から隙間風が入ってきて寒いという経験はありませんか。
その原因が窓と壁の境目などに隙間ができ、気密性が低くなっているためです。
気密性が低い家では、エアコンを適温に設定しても外に空気が逃げ、エアコンの稼働率を上げる必要性も。
余計な冷暖房費がかかってしまう原因になります。
気密性が高い建築会社を探すには以下の確認が必要です。
- C値は0.5(㎠/㎡)以下
- 気密測定が可能
→壁紙を貼る前と貼った後に施工
高気密をアピールしている建築会社も実は気密測定ができない可能性も。
我が家もデザインが気に入った建築会社がありましたが、気密測定ができなかったためその建築会社とは契約をしませんでした。
気密測定の可否は建築会社選びの中でとても大切な指標です。
気密性を表すC値とは?
C値は以下の数値で算出可能です。
C値=住宅全体の隙間面積÷延べ床面積
値が低いほど隙間が少なく、気密性能が高いことを表しています。
気密性が高い住宅の基準値は、最低でもC値1.0以下と多くの本や住宅関係の専門家の方が言われています。
しかし、C値1.0は最低値であって、実際に隙間風や結露の対策をするなら0.5以下にすることが大切。
C値の確認は、机上での算出に加えて、次に紹介する気密測定が重要です。
気密測定でC値の実測値を確認
気密測定は、気密測定器を使って家内部の空気を外に排気し、家の内部と外部の気圧差によって測定されます。
室外に排気した分だけ隙間から空気が入ってくると、気密性が低い住宅に。
反対に隙間から空気が入ってこないと、気密性が高い住宅となります。
我が家は測定した結果、C値が0.38でした。
気密測定は、以下のタイミングでの測定をお願いしてください。
1回目→壁紙を貼る前
C値の値が悪い場合、隙間を確認し修正が可能
2回目→壁紙を貼った後
完成に向けた最終確認
せっかく気密測定をしたのに、値が悪かったら嫌ですよね。
そのため、壁紙を貼る前に気密測定を行って、修正をしてもらってください。
冷暖房費がかからない家にするためだけでなく、良い建築会社の見極めには気密測定ができるかを確認することが大切。
ぜひ、気密測定ができるかを確認して冷暖房がかからない家にしてください。
パッシブハウスでは、気密性について最低限の値がありますので、冷暖房費がかからない家になっています。
高性能な窓
冷暖房がかからないパッシブハウスでは、窓の性能や大きさもとても重要。
窓は家の中の暖かい熱が逃げてしまったり、外の熱が入ってきてしまう原因の大部分を占めています。
また、窓ガラスの種類に加えて太陽の熱を上手に利用するための配置計画も重要。
窓ガラスの種類や設置する場所によって性能を変えることで最大の効果を得られます。
複層ガラス
複層ガラスとは、ペアガラスやトリプルガラスと言われている窓ガラスが二重や三重になっているものを言います。
ペアガラスやトリプルガラスの中には、断熱性を高めるためにアルゴンガスが入っているものなどさまざまです。
窓ガラスは種類によってコストも変わってしまいますが、コストを意識しすぎて家の快適性が損なわれる可能性も。
冷暖房費がかからない家にするためにペアガラスやトリプルガラスなど性能が高いものにすることがおすすめです。
太陽の熱を利用した窓ガラスの配置
窓ガラスの種類に合わせて、太陽の熱を取り入れたり、家の中の熱を逃さないために窓の配置計画も重要です。
以下のようなポイントがあります。
- 南側の窓→太陽の熱を取り入れて暖房がわりにするために、日射取得型にする。
- 東西北側の窓→室内の熱を逃さないようにするために、日射遮蔽型にする。
我が家もリビングがある南側に大きな日射取得型の窓を配置。
そのため、冬も太陽の熱が入って暖房を日中は使わなくても暖かい家になっています。
太陽の熱は無料ですので、効率的に利用するのがおすすめです。
日射取得と日射遮蔽
日射取得と日射遮蔽は窓以外に、建てる場所や庇(ひさし)の活用が大切です。
せっかく日射取得をしようと思っても、前に大きな家があってはせっかくの日差しが入ってきません。
庇を活用できなければ、夏は日差しが入り家の中が暑くなりすぎることも。
そのため、窓に加えて土地選びや庇の活用が重要です。
パッシブハウスでは、太陽に素直な家にするために日射取得と日射遮蔽に気を使っています。
土地の選定
土地を購入する方の場合、土地を選ぶタイミングは、建築会社と間取りの打ち合わせ後がベストです。
間取りの打ち合わせの時に、実際の土地で日射取得や日射遮蔽ができるか確認ができます。
良い建築会社は日差しが入る方向や風向きなどを計算して間取りの計画を実施。
そのため、冷暖房が効きやすい家を建てることが可能です。
また、土地を選ぶときには、将来、南側に家が建つ可能性があるかないかについての確認も必要です。
建てた当初は、南側に家がないので日射取得できましたが、その後に家が建ち日差しが入らなくなるということも。
将来的にも日射取得ができる土地を選ぶことで、冷暖房費がかからない家になります。
我が家も土地選びは複数候補の中から日当たりなどをトータルに考えて建築会社と一緒に決定しました。
庇(ひさし)の活用
夏の日差しを遮るために庇の設置が重要です。
庇を活用することで、夏の日差しを遮り、冬の日差しを取り入れることが可能になります。
活用するためには、
庇の角度や長さも太陽の場所を考慮して設置する必要。
パッシブハウスが建てられる建築会社では、時期によっての太陽高度を計算して庇を調整しています。
そのため、少ない冷暖房の稼働率で家の中が夏は涼しく、冬は暖かくなります。
デザインと機能性を持つ家を建てるためにもパッシブハウスがおすすめです。
熱橋をなくす
熱橋とは、ヒートブリッジと呼ばれ、周囲の材料よりも熱を伝えやすい部品のことです。
バルコニーや外壁の物干し用アームの取り付け金具などが熱橋になりやすい材料です。
熱橋を通して、冬では室外の冷たい空気が室内に入り、内側で結露してしまう可能性も。
パッシブハウスでは、熱橋を極力無くす考えのため、バルコニーや外壁の物干しアームなどは取り付け出来ません。
我が家もバルコニーや物干しアームを設置しようと考えましたが、熱橋と外観のイメージを損うので無くしました。
バルコニーは不要
我が家はバルコニーを設置しませんでした。
バルコニーで洗濯を干すイメージをする方も多いと思いますが、本当に必要かを考えてみてください。
熱橋になりやすいことに加えて、バルコニーの設置費用は高額に。
我が家は、晴れた日はウッドデッキに物干しを出して外干し、雨の日は室内干しをしています。
雨の日の室内干しでもサーキュレータを併用することで、十分に乾かすことが可能。
バルコニーを無くしても特に困ることありませんでした。
熱橋をなくすことに加えてコストダウンも図れますので、バルコニーなしの家もおすすめです。
熱交換換気装置の設置
国土交通省は、2003年の改正建築基準法によりすべての一戸建て住宅において24時間換気システムの設置を義務付けました。
24時間換気システムは主に三種類ありますが、パッシブハウスでは、機械による換気方法の第一種換気システムを活用しています。
第一種換気システムを活用
第一種換気システムは、排気側、吸気側ともに換気装置を設置し、空気の入れ替えを強制的に実施する方法です。
パッシブハウスは気密測定を行い、気密性を高めているので第一種換気システムで強制的な換気が必須。
換気装置の種類を熱交換型にすることで、外気を室内温度近くまで調整し室内に取り入れることが可能です。
そのため、冬の寒い空気や夏の暑い空気が室内にそのまま入るのを抑える効果が。
効率的な換気を行うことで、冷暖房費がかからない家になります。
第一種換気は、設置費用がかかりますが、快適な室内空間を整えるためにも必須の設備です。
建築会社によってダクトが潰れて敷設されてしまうなどありますので、しっかりと敷設できる建築会社を選定してください。
我が家は換気装置の第一人者、エコモの三原さんに敷設してもらいました。
まとめ〜パッシブハウスにすることで冷暖房費は抑えられる〜
冷暖房が効率的に効く家を建てることで、月々の冷暖房費を下げることができます。
パッシブハウスでは、断熱性や気密性を高め、太陽の光を活用しているため冷暖房費を抑えることが可能に。
冷暖房費を抑えるだけでなく、冷房や暖房の効きが悪く、夏は暑く冬は寒いなどもなくなります。
家を建てるときには、デザインだけでなく、快適に過ごすための性能も重要。
今回紹介したポイントを建築会社の打ち合わせでも確認してみてください。
後悔しない家づくりのためには施主自身が家づくりについて少しでも勉強することが大切です。
他の記事でもパッシブハウスについての我が家の家づくり方法などを紹介していますので、ぜひご覧ください。
コメント